「日本」はなくなってしまうのではないか――。自決の4カ月前にカリスマ作家が発表した文章が今に蘇る。
2010年12月号 LIFE
〈6.15〉(安保反対デモの東大生、樺美智子の死)や〈11.22〉(JFK暗殺)などとともに、「楯の会」の若者を率いた作家の三島由紀夫が東京・市ケ谷の自衛隊駐屯地に乱入して割腹自殺を遂げた〈11.25〉は、ある年代以上の日本人には戦後史の共通体験としていまも格別の鮮烈な記憶の中にある。この11月25日で事件から40年を迎えるにあたり、存命なら85歳になるはずの「三島」にまつわる新たな論評や評伝などのほか、蜷川幸雄や宮本亜門ら日本の代表的な演出家による小説の舞台化、戯曲の上演が来年にかけて相次ぐ。今日の若い世代にとって、繰り返し映画化されてきた『潮騒』などの娯楽性にも富む爽やかな青春小説と、過激な政治的主張を掲げた荒唐無稽な死を結ぶ作家の入り組んだ全体像は、おそらく理解を超えたところにあろう。没後40年で蘇る新たな三島像を通して、カリスマ作家が45歳で命を絶った〈11 ………
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