編集後記

2010年12月号 連載

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トリュフォーが好きだった。いまは亡きフランスの映画監督である。でも、学生時代に見た『華氏451』は、66年製作のSF映画だからCGなどない。当時のモダン建築を背景にして未来らしく見せているのが、「ウルトラマン」シリーズのようで懐かしい。一人二役の女優ジュリー・クリスティーが全盛期で、限りなく美しい映画だったと記憶している。▼華氏451度とは紙が発火する温度のこと。いつともしれぬ未来、本を読むことが禁止され、隠し持つ蔵書を火炎放射器で焚書してまわるファイアマン(英語では皮肉にも「消防士」の意味)の物語だった。レイ・ブラッドベリの原作では、誰もが「海の貝」と呼ばれる耳の端末から情報を得ていて、家族は壁面テレビを眺めている。愕然とした。えっ? それって今の風景じゃないの。▼「本なんてガラクタだ。人を不幸にする。焼かねばならん」。消防車に乗ってサイレンを鳴ら ………

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