「ロシア・ショック」で食糧危機を煽るなかれ
2010年10月号 GLOBAL [インタビュー]
――8月上旬、干ばつ被害のロシアが穀物禁輸措置を発表しました。美甘 世界の小麦輸出の1割を占めるロシアの決定を受け、1ブッシェル(27キロ)5~6ドルから8ドルに跳ね上がったが、現在は7ドル前後に戻っています。小麦暴騰は、投機資金が流れ込んだ一昨年2月の13ドル34セントがピークでした。米農商務省が3千万トンの小麦減産を推計し、「ロシア・ショック」が懸念されたが、それほどではなかった。――暴騰しなかった理由は?美甘 そもそも需給がタイトでないから。主食である小麦は世界需要の伸びも低い。主産国が北半球と南半球に分散し、春と冬に作付けができるため価格上昇が供給増を誘発しやすい。「世界のパンかご」と呼ばれる米国は、今年も豊作の見込みです。ちなみに、我が国のパンやうどんの小売価格に占める原料小麦の比率は1割程度、人件費が高い外食では、うどん1杯の値段に占める小麦の ………
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