――近著『デフレの正体』（角川書店）が話題を呼んでいます。藻谷　日本経済の問題は、「デフレ」や「不景気」といった、曖昧模糊とした言葉で括られるばかり。何が原因で、何が起きているのかが明快に語られていません。そのため問題の本質がわからず、不安が増幅していく。拙著では、普通の日本人が日本経済の現状と先行きに感じている不安の正体を、曖昧な言葉を使わず、簡単な理屈でわかりやすく仕分けました。「そんなことだったのか。ならば対処可能じゃないか」という道筋も示しました。――「景気の波」を打ち消すほどの「人口の波」が、日本経済を洗っている、と論じていますね。藻谷　就業者数や小売販売額、輸出入額、個人所得、生産年齢人口に老年人口といった、政府機関の全数調査の公表統計を絶対数の経年推移で見ると、見えてくる現実です。ところが、失業率や高齢化率、対前年同期比などの ………