「太陰暦」の捨てがたい魅力

2010年9月号 連載 [眠れぬ夜のバラード ~うつ病時代の処方箋~]

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最近、太陰太陽暦(いわゆる旧暦)のカレンダーがよく売れるようになっているという。太陰暦はもともと夜に月の満ち欠けを観察するところから作られたはずであるが、四季の変化を盛り込めず、光を重視する農耕文化にとってはいささか使いづらい。また、やや面倒な補正が多く、専門家でないとわかりづらい。太陽暦のほうは誰にとってもわかりやすく、グローバルな時代には都合よく、目下世界の主流である。しかし、なぜか、なお太陰暦は完全にはすたれることはなかった。そもそも、農耕文化には季節感を盛り込んだ光のリズムをもととする太陽暦のほうが良さそうだが、それ一本とはならず、二つの折衷による太陰太陽暦を、東洋では長く使ってきた。イスラム圏では今も太陰暦を使用しているところもある。その復活の兆しがあるとすれば、太陰暦には捨てがたい魅力があるからに違いない。太陽の光の影響を遮 ………

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