記憶から蘇るありし日の村落共同体

『100年前の女の子』

2010年8月号 連載 [BOOK Review]

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昨年100歳を迎えた寺崎テイは、明治42年、群馬県境に接した栃木県高松村に生まれた。実家で彼女を出産した母親は、姑や小姑を嫌って婚家に戻らず、生後1カ月のテイだけが寺崎の家に戻された。実母を知らぬテイは祖母に育てられ、彼女からの聞き取りをもとに、その生い立ちと大正期の農村風景を微細に再現したのが、彼女の娘であるこの本の著者である。母無し子のテイは祖母ヤスに背負われ、もらい乳で生き延び、幼時からあちこちに里子に出された。父の再婚後、義母の実家が実子の相続権を主張したため、5歳で養子に出される。養家でこき使われるのを見かねた祖母らの配慮で、小学校入学前に実家に戻ったが、義母は3人の娘を産み、雛祭りには寺崎家の長女となった義妹の七段飾りの雛を横目に、裏の川で時を過ごした。そんなテイに祖母は「がまんしろ、ガマンだぞ、いいか」と言って聞かせる。米寿を過ぎ ………

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