編集後記

2010年8月号 連載

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菅民主党のあまりの負けっぷりに、唖然としたまま、サッカーW杯の決勝、スペイン対オランダ戦のテレビ観戦になだれこんだ人が多かったのではないか。延長戦の終了間際、ゴールのネットに突き刺さったイニエスタのシュートと、ユニホームの下に忍ばせた亡き友への手向け。気がつけば白々と夜が明けていた。ピッチに崩れ落ちたオランダの選手たちも、美しい敗者の表情だった。▼記憶がもどってくる。深夜の総理会見。スポーツに比べると、政治の敗者の顔は目をそむけたくなるほど醜い。つい前日まで、真夏の選挙戦で日焼けし、白い歯をほころばせ、満面精気がみなぎっていたのに、すっかり脂っ気が抜けて、目まで点を穿ったような無表情。得意絶頂だった権力者が何かに怯え、内心の動揺を抑えようと、慎重に言葉を選んでいるが、「悪鬼羅刹のごとき険相」が皮膚の下から浮かんでくる。▼トルストイではない ………

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