編集後記

2010年7月号 連載

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モラルハザード(moral hazard)ほど訳しづらい言葉はない。火災保険を掛けて気が緩み、かえって火事が増えるようなことを言うのだが、まるで破廉恥罪みたいな訳語「倫理感の欠如」は誤訳だろう。無意識にリスクの確率をはじいて個々に得なほうを選択すると、全体として損失が膨らんでしまうという「合理に潜む背理」のニュアンスがあるからだ。▼銀行が破綻しても預金保険が1千万円まで保護する制度があるから、1千万円以下なら無リスクだと高利の定期預金を集め、それを高利貸しに回して焦げついても、預金が兆円単位になれば国も簡単につぶせない──それが日本振興銀行のモラルハザード型ビジネスモデルだった。預金保険を食い物にする癌細胞はみるみる増殖し、預金残が6千億円に膨張、やんぬるかなと政府も「殺処分」に踏み切った(6~9ページ参照)。▼この銀行、実は郵便貯金が抱える制度的欠陥のミ ………

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