編集後記

2010年5月号 連載

表紙にはマジックがある。雑誌の顔だが、単なる包装ではない。中身を要約した目次でも、模した戯画でもない。ただ目を惹くポスターでもなければ、クリックしてみたくなるアイコンでもない。それは正体を知られてはならないペルソナ、人の心にぽつんと滴を落とし、墨流しのように夢をひらく小さな扉なのだ。▼今号から表紙を一新し、杉戸洋さんの絵で飾ります。FACTAの表紙は初代の写真家、荒木経惟さんが1年半、2代目の日本画家、江口暢彌さんに2年半をお願いしたので、創刊5年目を機に3代目に入ることになります。なぜ彼の絵を選んだ?それに答えるのは難しい。▼じっと目を凝らすと、その絵は夢のスクリーンに見える。ときに格子、ときに白壁、ときに舞台、ときに地平線、ときに野原。そこにちらちらと人影のような、木立のような、星屑のような、蝶々のような「小さき者」が舞っている。それだけで水中 ………

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