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『現代中国女工哀史』

2010年4月号 連載 [BOOK Review]

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「女工哀史」と聞けば、日本人の多くは『あゝ野麦峠』に代表される紡績女工の悲惨なストーリーを連想する。間もなくGDP(国内総生産)で日本を抜き世界第2位の経済大国になるという「現代中国」の「女工哀史」。中国の暗部に光を当て、女性労働者の虐げられた実態を暴いたルポと思われそうだが、内容はまるで違ったトーンで描かれている。10代で農村から出稼ぎにきた民工と呼ばれる女性労働者たち。その生活が厳しいことは言うまでもない。だが、彼女らは自らの環境を嘆いたり恨んだりする暇に、少しでも条件のいい仕事を探し、技術を身につけ、キャリアアップを図っていく。「女工哀史」の感傷などなく、からっとした明るさすら感じる。原題は感情を排した『ファクトリー・ガールズ』である。舞台は3~6年前の珠江デルタ地区の工業都市・東莞(ドングアン)。広州、深圳に近く、外国企業が進出し、パソ ………

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