2010年2月号 連載 [手嶋龍一式INTELLIGENCE 第46回]
新しい年にいかなる出来事が起きるのかを精緻に見通したい――。経済アナリストならずとも、誰もがそう願っていることだろう。もし6カ月先に生起する事態を正確に予測できるなら、現下の不況など何ほども恐れることはない。競争相手に先駆けて、適確な手を打てるからだ。インテリジェンスとは近未来を言い当てるわざなのだが、情報のプロほど将来をぴたりと予測する難しさを知り抜いている。「世界に冠たる」と形容されるアメリカの情報機関も、忍び寄る危機を事前に警告できた例などほとんどない。なぜ予知に躓(つまず)いたかを検証した報告書はトラックに積みきれぬほどある。真珠湾奇襲から、スエズ動乱、イラク軍のクウェート侵攻、さらには9.11事件にいたるまで、錯誤の葬列が延々と続いている。その一方で迫りくる危機をずばりと警告し、悲劇を未然に防いだケースはごくわずかしかない。最近では2 ………
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