2010年2月号 BUSINESS [ビジネス・インサイド]
公募増資ラッシュに呑み込まれた09年の株式市場。調達額はバブル崩壊後で最高となる計5兆円にのぼり、エクイティストーリーなき大型増資と、それに伴う大規模な株式価値の希薄化に批判が集まった。証券業界では、既存株主の被る不利益を最小限にとどめるため、新株発行による希薄化率は「20%以下に抑えるのが暗黙の了解」(証券関係者)となっている。にもかかわらず、09年は業界リーダーの野村証券自身が希薄化率20%を超える公募増資を2回も行い、顰蹙を買った。ところが、野村は悪者扱いされる一方で、公募増資などエクイティファイナンスの主幹事を次々と引き受け、50%を超える圧倒的なシェアを獲得した。野村自ら、掟破りとも言える希薄化の露払いを演じたことで、顧客企業が大量の新株を発行する心理的抵抗感は弱まった。そこで今度は持ち前の営業力を発揮し、完全な独り勝ちを手にした恰好だ。 ………
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