どこまでも市場人
2010年2月号 連載 [ひとつの人生]
「家でも眉間に皺を寄せて、ロイターのポケットモニターを見ている人でした」告別式の最後に立った夫人の挨拶に、会場の空気がふっと和らいだ。いかにも福間さんらしい。会食の席でも為替相場を確かめるために時折、携帯端末のポケットモニターを見ていた姿が目に浮かぶ。棺のなかには、お孫さんの寄せ書きとともに、その日の日本経済新聞が納められていた。どこまでもマーケットに生きた人だった。三井物産の財務畑を歩き、ニクソンショック、二度の石油ショック、プラザ合意、バブルの狂乱と崩壊、アジア通貨危機と幾多の修羅場を切り抜けた。財務担当役員時代、タイ経済の変調を察知すると、海外出張の予定を急遽変更して自ら現地に乗り込んで調査、帰国するやいなやバーツ売りに出て、アジア通貨危機の損を未然に回避するなど、伝説には事欠かない。バブル真っ盛りの財務部長時代、他の商社が特金( ………
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