クロード・レヴィ=ストロース氏(文化人類学者)

歴史の重圧に抗う

2010年1月号 連載 [ひとつの人生]

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現代人類学の巨星、レヴィ=ストロースが亡くなった。瑞々しい感性にあふれた旅行記『悲しき熱帯』、現代思想を根底から揺るがせ、サルトルを厳しく批判した『野生の思考』、南北アメリカ・インディアンの、世界への親密な接し方に分け入ったライフワーク『神話論理』は、他の多くの著作とともにこれからも読み継がれてゆくだろう。レヴィ=ストロースはしばしば静的で歴史に背を向けた「構造主義」の創始者と言われる。構造とは「変われば変わるほど変わらないもの」のことだ、と自ら言うのを見ると、こうした評価は当たっているかに見える。しかし、言語の根底にある音韻の構造が、さまざまな変異を示して世界中の無数の言語を成立させているように、無限の多様性を生み出すものとしての「構造」は、文化の豊かな多様性の源泉なのだ。文化という生き方の多様性を擁護するためにこそ、レヴィ=ストロース ………

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