2010年1月号 連載 [手嶋龍一式INTELLIGENCE 第45回]
「私は日米同盟の現状に強い危機感をもっている。外相として何とかこの事態を打開しなければならないと思っている」沖縄を訪れて地元の基地関係者と会談した岡田克也外相は、その後、記者会見に臨んでこう述べた。この人の発言は、外相に就任して以来、揺れに揺れているのだが、冒頭の発言は、鳩山政権の病がどれほど重いのかを端なくも物語っている。日米同盟の現状をかくも悪化させたのは、当の閣僚たちなのだが、それを他人事のように憂えているところに現状の深刻さが窺えよう。ワシントンの外交専門家は、この岡田発言を捉えて、次のように慨嘆している。「岡田外相の危機発言は、マッチを弄んでいた子供が、眼前の紙くずに火をつけてしまい、燃えさかる炎に怯えているようなものだ。ここまで事態を悪化させたのは自らの振る舞いのゆえだという自覚を欠いている」岡田自身は、ワシントンの厳しい空 ………
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