竹下勇日記とロシアの金塊

革命前夜に太平洋を渡海

2010年1月号 連載 [日記逍遥 第12回]

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大正4年11月25日、海軍軍令部第一班長竹下勇の日記は、金塊輸送の始まりを次のように告げている。「英国より露都ペトルグラドにある英蘭銀行の正貨一億円を浦港に持来り、加奈太(カナダ)に輸送の協議を受く」ロシアの金塊といえば、松本清張の『昭和史発掘』に出てくる「セミョーノフの金塊」を思う人も多いだろう。革命後の大正7年8月、カザンに移された金塊が反革命軍に奪われ、一部がセミョーノフに渡ったもので、さらに一部が日本陸軍に流れたとして議会でも問題にされた。ただ陸軍の横領疑惑が数百万円なのに対し、竹下日記の金塊輸送は4回で総額6千万ポンド、6億円にものぼっていて、こちらのほうがはるかに「ロシアの金塊」にはふさわしい。竹下勇は明治2年に鹿児島に生まれ、22年には海軍兵学校を卒業する。同期には、二・二六事件当時の首相岡田啓介や、山本権兵衛の女婿で海相の財部彪(た ………

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