「二つの故宮」初の合同展が波紋

国家の正統性を競う北京と台北の故宮博物院。馬政権の両岸交流で「チャイワン化」が一段と。

2009年12月号 DEEP

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中国の清朝第5代皇帝、雍正(ようせい)帝にまつわる美術品を集めた「雍正-清世宗文物大展」が、この秋から来年初めにかけて、台北の故宮博物院で開かれている。清朝の崩壊と辛亥革命に伴い、北京に生まれた故宮博物院は革命と抗日戦争、さらに国共内戦という現代史の激動に揺さぶられた。国民党の蒋介石政府は紫禁城に収蔵されていた歴代王朝の膨大な数の美術品の一部を台湾へ運び、もう一つの「故宮博物院」を設けた。「二つの故宮」は海を挟んだ二都が向き合う格好で、中国という国家の正統性を競ってきた。1925年に北京の紫禁城に発足した故宮博物院が、中国革命によって中台に分断されて以来、初めてとなる合同展の開催は、大陸との融和政策をすすめる馬英九政権の下でいわゆる両岸交流が文化の領域にまで深まっていることを示している。また台湾独立派など独自のアイデンティティーを求める勢力 ………

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