日米「密約」もう一つの大罪

2009年11月号 連載 [手嶋龍一式INTELLIGENCE 第43回]

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「外務省のラスプーチン」と呼ばれた佐藤優氏は、小説『ウルトラ・ダラー』の文庫化にあたって解説の筆を執ってくれた。佐藤氏はこの物語が「冷戦後、日本人によって書かれた初のインテリジェンス小説だ」と見立てたのだった。そして物語で使われた素材を吟味し、「本当のような嘘」と「嘘のような本当」について仔細に論じている。情報のプロフェッショナルが情報の核心にひたひたと迫ってくる凄みは格別で、なんとも不気味だった。そういえば『ウルトラ・ダラー』を上梓した直後に、外務省の中堅官僚が現れ、こう探りを入れてきた。「仄暗き運河――と題された第四章のなかに『公電』という節がありますね。あそこに部外者は決して足を踏み入れることのできない場所が描かれている。そして知られざる国家の機密にこともなげに触れています」国家の機密は書くべからずという彼らが、どの箇所を問題にした ………

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