編集後記

2009年10月号 連載

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不思議な本がある。部落解放同盟系の出版社から贈られたが、差別の本かと思ったら、さにあらず。タイトルは『楽しい騙しのインテリジェンス? マリック直伝! サギのイロハと撃退法』(モナド新書)。筆者が伊東乾氏なので、あれっと思った。東大で物理学の修士号を取りながら、作曲家兼指揮者として現在は東大大学院情報学環の准教授。オウム真理教信者になった同級生を書いた『さよなら、サイレント・ネイビー』で賞を取った多芸多才の人である。▼この本ではマジシャンのMr.マリックが対談のゲストになり、手品のような無害な騙しの「シロサギ」と、悪質なペテンの「クロサギ」のミソを鮮やかに解いてみせる。伊東氏は幼いころ手品に憧れ、百貨店売り場で実演販売しているマリックを見て師事したというから、師弟談議は堂に入っている。マジックは畢竟、早業とミスディレクション(目くらまし)に帰す ………

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