「元米大統領」という護符の価値

2009年9月号 連載 [手嶋龍一式INTELLIGENCE 第41回]

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金王朝の独裁制に果たす「アメリカ大統領」の役割はもっと深く考察されていい。北朝鮮にとって、大統領は交渉の舞台で切り結ぶ相手であるだけではない。金一族にとって、血脈の継承になくてはならない「護符」なのである。とりわけ独裁者の健康に陰りが生じ、国内経済が振るわないときには、守り札の威光は何としても必要となる。これほど使いでがある「護符」を見つけたのは金日成(キムイルソン)だった。白頭山のパルチザンとして頭角を現し、冷たい戦争のさなかには、スターリンと毛沢東の双方を手玉に取るしたたかさだった。朝鮮戦争ではトルーマンを相手に奮戦し、その体験から超大国がもつ力のすさまじさを身をもって学んだのだろう。北朝鮮はその後も、アメリカ大統領という名の「護符」を操って危機をすり抜けている。1994年6月のことだった。北朝鮮の核開発が明るみに出て、38度線をめぐる軍 ………

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