8月15日の日記たち

「玉音放送」に十人十色

2009年9月号 連載 [日記逍遥 第8回]

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「正午、聖上御躬らマイクの前に立たせ給ひ、勅語を給ふ。文字通り一億泣く」8月15日といえば、玉音放送に涙に安堵感。そんなイメージを持つようになったのは、細川護貞日記のこの一節を目にしてからだろうか。だが、大戦の間の日記、すなわち戦間期の日記を読み進めると、すべてが揃っている日記は稀であることに気づく。玉音放送はあっても涙のない日記もあれば、涙はあっても安堵感のない日記もある。じっさいこれまで紹介した日記なども、じつに様々な8月15日となっている。「午前三時二十分、戸田侍従来室、今暁一時半頃より近衛師団の一部反乱せるものの如く、行動を起し、本省の通信施設を占領遮断し、御文庫も包囲せられ居り、連絡とれずと云ふ。容易ならぬ事態故、直に起床」『日本のいちばん長い日』の始まりに、内大臣木戸幸一の日記は緊迫している。「機密重要書類を破り、便所に流し、それ ………

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