「二流のピアニスト」だらけの日本

評論家も聴衆も甘すぎる。テクニックを極めるだけでは世界の一流に太刀打ちできない。

2009年7月号 LIFE

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上原彩子というピアニストがいる。2002年のチャイコフスキー国際コンクールのピアノ部門で日本人として初めて優勝した女性だ。コンクールの様子はテレビでも放映されたのでご覧になった方も多いだろう。こう言っては申し訳ないが、彼女は「テクニック一流、音楽三流」の我が国ピアノ界を(良きにつけ悪しきにつけ)体現するようなピアニストである。 筆者は怖いもの見たさに彼女がウィーン交響楽団とモーツァルトのピアノ協奏曲を共演する演奏会に行ったことがある。ハッキリ言ってあれはモーツァルトではない。ラフマニノフやチャイコフスキーをバリバリ弾くことしか知らないピアニストが、モーツァルトの「様式感」をまるで理解せず音符だけをなぞった演奏だった。モーツァルトを知悉するウィーンの楽団員はプロとして最後まで真剣に演奏していたが、きっと陰で苦笑していたことだろう。彼女は彼女な ………

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