「どこでもよそ者」松本清張

2009年6月号 連載 [硯の海 当世「言の葉」考 第38回]

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松本清張には一度会ってみたかった。新聞記者という職業についていた身には、会おうと思えば会えたはずだが、会う必然性もきっかけもなかった。私の担当していた政治の分野で、松本清張が重要な役割を果たしたことはないわけではなかった。とくに日本共産党と創価学会の「創共協定」の橋渡し。共産党宮本顕治委員長と池田大作会長の会談をお膳立てしたときはチャンスだったが、あいにく私はそのころ自民党担当だった。北九州市小倉の松本清張記念館。地方出張の多い私には近くへ出かけたときに必ず立ち寄る場所が全国にあるが、北九州ではまず、ここである。圧倒される作品の数。短編、長編、ミステリー、古代史、政治家や官僚論、戦後疑獄史……。幅の広さには目まいを覚えるほどである。いったい、松本清張について語るにはどこから始めれば、そしてどれほど読めばいいのだろう。結論が出ないまま、読破 ………

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