中国一の「赤い財閥」栄家が没落

鄧小平と組んだCITICの栄華も今は昔。三代目が豪州ドル投機で1900億円も大損。

2009年6月号 BUSINESS

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香港の複合高層ビル施設アドミラルティー(金鐘)地区に聳える33階建ての通称「CITICタワー」(中信大廈)。4月8日、67歳の男が白い乗用車でこのビルを去っていった。「ラリー・ユン」こと栄智健――このビルを本拠とする中信泰富有限公司(CITICパシフィック)の会長だった。が、もう二度とここには帰ってこられないだろう、という思いが胸に去来したはずだ。外貨取引で146億香港ドル(約1900億円)という記録的な損失を出し、栄智健はこの日、会長を引責辞任したのである。中信大廈には、財務を担当してきた長女の栄明方や、執行役員の長男の栄明傑が残ったが、地元紙は「罪が確定したら懲役10年になるだろう」とまで書き飛ばしている。「富不過五代」――「富豪は五代続かない」という意味の古い諺が中国にはある。栄家は民族資本家として頭角を現した初代、栄徳生の1930年代から、紡績業で不動の地位を ………

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