編集後記

2009年6月号 連載

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もう1年になる。日経連元会長の永野健氏が85歳で亡くなったのは、昨年5月12日だった。彼のご子息2人と学校や会社で親しかった縁もあり、東京・渋谷の桜丘にあった永野家の旧邸が今は懐かしい。その一周忌にご遺族から、小冊子『技術無限――永野健最後の講演から』をいただいた。70ページ足らずだが、目で追っていくと、故人のあの朗らかで野太い声が耳に響く思いがする。▼歯に衣着せず「銀行の給料は高すぎる」と批判した硬骨の志は、この9年前の6月23日の講演でも息づいていた。「古い産業といえども、形を変えて新しい産業に貢献している。むしろ現実には、古い産業が頑張って生産性を上げているからこそ、新しい産業の発展も可能になったのです」という言葉には、けっして古びないエンジニアの気迫がこもり、今も心を励まされる。▼彼自身、鉱業という第一次産業に身を置いて、銅の新しい製錬技術を開 ………

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