吉田ドクトリン擁護
2009年5月号 連載 [ひとつの人生]
日本の現実主義思想の発展に大きな役割を果たした国際政治学者、永井陽之助教授が昨年12月に逝去され3月に公にされた。永井教授は1967年に上梓した著作『平和の代償』で、当時の国際環境のもとで日本は非武装中立政策を受け入れ難いと論じ、同時に日本の核武装化を求めるタカ派も批判した。日本の国益を守る最善の方策は、米国の核の傘に依存することであり、経済主導の外交を恥じる必要などない、と主張したのである。日米同盟を支持しながら、常に米国の対外政策には批判的な目を向けていた。例えば78年の『冷戦の起源』では、ベトナム戦争の大失敗が示すように、米国は現実をシンボルにすりかえる傾向があると批判した。私が永井教授に初めてお目にかかったのは、80年代初頭で、二人ともハーバード大学の日米関係研究プログラムに携わり、イェンチン図書館のすぐ裏、黄色い外壁をしたビクトリア朝建 ………
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