編集後記

2009年5月号 連載

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商売柄、徹夜して朝帰りすることが少なくない。車を降りて耳を澄ます。がらんとした夜明けの街に、さやさやと風が吹きわたる。新聞配達のスクーター、早朝出勤の靴音やジョギングの人の息づかい、散歩の犬のざわめきがだんだん高くなる。目覚めようとする都会の地鳴り。殷々と響くあの通奏低音は何と呼ぶのか。眠りに落ちる前に、幕末の風俗百科『嬉遊笑覧(きゆうしようらん)』を枕頭で開こう。▼最近完結した岩波文庫版の最終巻は「乞丐(こつがい)」「禽虫」「草木」を収め、物売りの声が出てくるから、200年前にタイムスリップできる。たとえば、菜売りが「なさう」(菜さぶらふ)、鰯売りが「あこぎがうらのいわしかふゑい」、馬売りが「馬かはふ、革かはふ」、提灯売りが「挑灯やちん」、牡蠣売りが「かきんよ、かきんよ」、雪駄なおしが「でいでい」(手入れ?)、とっかへべいと呼ばれる飴売り ………

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