木戸幸一日記のゴルフ事始

激動の昭和を潤したグリーン

2009年4月号 連載 [日記逍遥 第3回]

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昭和5年から始まる木戸日記を開くと、冒頭からゴルフの記事の多さに驚かされる。書き手は帰朝途上で、アメリカ西海岸でクラブを振り、ハワイでもコースを回っている。帰国後も頻繁にゴルフ場に出かけていて、この年は年間ゴルフ場日数は93日にものぼる。しかもホールごとのスコアまでも記した日もあって、オレの日記を見るときにはゴルフを忘れるな、といわんばかりである。木戸幸一は昭和15年から20年まで、常時天皇を補弼(ほひつ)する内大臣の職にあったため、その日記は昭和史の超一級史料とされている。帝国日本が対米戦争に突入する過程についても、ポツダム宣言を受諾する経緯についても、木戸日記を引用しない史書は見当たらない。当然ながら敗戦の責は免れがたいし、批判も避けがたい。この場合の日記とは、刊行された『木戸幸一日記』のことで、内大臣秘書官長になった昭和5年から、東京裁判 ………

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