太宰と清張「生誕百年」の喝采

衰えることなきベストセラーは「国民文学」の黄昏を映す最後の輝き。

2009年3月号 LIFE

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グローバリズムのもとで進む国語と文芸の衰退を論じた水村美苗の『日本語が亡びるとき──英語の世紀の中で』に重ねてこの風景を眺めれば、それは日本の「国民文学」の黄昏を映す最後の輝きのようにも見える。今年で生誕百年を迎え、世紀と世代を超えてベストセラーを続けている太宰治と松本清張の賑わいである。津軽の大地主の息子として不自由なく育ち、東大仏文科を経て『人間失格』などの私小説風の作品で売れっ子になりながら、39歳で女性と入水心中した太宰。貧しい行商人の家に生まれて小学校卒で下積みの仕事を転々としながら同人誌に細々と小説を書き続け、41歳のときに懸賞小説に入選して社会派推理小説という領域に新境地を開いた清張。こうした伝説的な生い立ちの対照はもちろんのこと、活躍した時代と作品の主題や作風、文体とジャンルや思想にいたるまで、すべてにおいて異質とみえる二人の ………

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