2009年2月号 連載 [硯の海 当世「言の葉」考 第34回]
年末から年始にかけて五木寛之を集中的に読んだ。近著の『人間の覚悟』を読んで、いま起こっている危機を、これほど見事に分析したものはないと感じ、さっそく私の報道番組に出てもらいたいとお願いしに行った。これを機会に昔読んだはずのものも含めて新たに買い求め手当たり次第に読んでみた。デビュー作の『さらばモスクワ愚連隊』、直木賞受賞の『蒼ざめた馬を見よ』、これまで420万部売れたエッセイ集『風に吹かれて』、『青春の門 筑豊編』、ここまでは若い頃に読んでいる。加えて『僕はこうして作家になった』『大河の一滴』『天命』『林住期』『他力』『私訳 歎異抄』『冬のひまわり』と食卓に積み上げて一気に読んだ。11冊である。過去にも小説をいくつか読んだ記憶があるので、普通の読者としてはかなり読んでいるほうに入れてもらえるだろう。これを書いているのはテレビに出演してもらう前 ………
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