渡辺 捷昭氏(トヨタ自動車社長)

死地にあって上下一致の「報国」

2009年1月号 連載 [経営者のひきだし 第33回]

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いま、「危機に強い」とされるトヨタのDNAが、試されている。1949年末に約束手形2億円の決済が困難となり、銀行団の緊急融資を受け、販売部門を分離して窮地を脱して以来受け継がれる「常に問題をみつけ、顕在化させ、改善を重ねていく」というDNA。世界の金融市場が収縮し、あらゆる消費財の需要が急減するなか、受け継がれてきたこの力を、どう活かすのか。「陥之死地然後生」(これを死地に陥れ、然る後に生く)――率いる部隊を、生きるか死ぬかのところへ投入してこそ、活路は開ける、とする『孫子』の教えだ。危機感というのは、リーダーだけが持てばいいのではない。組織の末端まで浸透させ、全員の力を引き出さない限り、危機から脱することは難しい、と説く。トヨタ単体で7万人弱、世界中のグループで32万人に及ぶ大部隊に、その危機感を共有化させようと連呼するのは、もちろん、この人だ。渡辺 ………

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