日本の原子力は「敗戦体験」から解放を

2009年1月号 連載 [隗より始めよ]

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戦略なき日本は、原子力をめぐる戦いに再び敗れるのだろうか。資源制約と地球温暖化の時代に、日本が安定的な国産エネルギーとして恃(たの)むことができるのは原子力をおいてほかにない。日本は、スリーマイル島、チェルノブイリを受けた1990年代の原子力後退期も、徹底した安全管理と地元との信頼関係の下で安定的な原発建設を継続した。その結果、日本には、バルブ、大型鍛造から制御系に至る、ほかに匹敵する国のない高度な原子炉製造サプライチェーンが構築された。原子力ルネッサンスが叫ばれ、日立は米GEと原子力合弁企業を設立、三菱重工は仏国策原子力会社アレバと提携、東芝は米ウェスチングハウスを手中に収めた。日本の原子炉建設経験に裏づけられた技術力を軸に世界の原子力産業再編が加速、日本は原子力技術を与えられる立場から与える側に躍り出たのだ。だが、これだけで原子力の戦いに ………

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