筑紫哲也の遺したもの

2009年1月号 連載 [硯の海 当世「言の葉」考 第33回]

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筑紫哲也が亡くなって、新聞、テレビ、ラジオなどで彼についての思い出を語ったり、早稲田大学で追悼シンポジウムをしたりと私の身辺もにわかにあわただしくなった。頼まれて新聞に追想録を書いたら、おまえなんかに書く資格はない、足元にも及ばない、という手紙が見知らぬ人からきた。足元に及んでいるなどと思っているわけもないが、どうして世の中はこんなに狭量になってしまったのかと情けなくなる。筑紫哲也について書くべきことはたくさんあるように思うし、さればとてじっくり考えると、それほど書くべきこともないようにも思える。いま思い出すのはテレビキャスターとしての筑紫哲也がもっとも苦しんだであろうころのことである。オウム真理教の幹部にTBSが坂本弁護士へのインタビューのビデオを事前に見せたことが大問題になったのは1996年3月のことだった。「ニュース23」の中で筑紫哲也は「 ………

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