踏み絵を踏まされたらたまらない。米欧が頼りにならず、次の標的ウクライナは戦々恐々。
2008年10月号 GLOBAL
8月に火を噴いたグルジアとロシアの紛争は、米国のほかOSCE(全欧安保協力機構)やEU(欧州連合)加盟国が、カスピ海と黒海を挟むカフカス(コーカサス)の回廊で戦争が勃発する可能性を予想していたにもかかわらず、未然に防げなかった。発端は8月7日の夜。親ロ分離派が支配する南オセチア自治州を軍事制圧しようと、グルジアの親米派政権が先制攻撃を仕掛けたことにある。2003年の「バラ革命」で誕生したミハイル・サーカシビリ大統領は、「ロシアの挑発に乗るな」との米欧の制止を振り切り、同州の首都ツヒンバリを砲弾で攻撃した。ところが、短期決着の見込みは外れ、グルジア軍の無謀な攻撃は、ロシアの介入に絶好の口実を与えた。グルジアが求めるNATO(北大西洋条約機構)加盟を、安全保障の最大の脅威とみなすロシアは、数千人規模の派兵と空爆でグルジア軍を撃滅、南オセチアから駆逐してグル ………
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