米ロ原子力協定「凍結」の裏

挑発の背後にちらつくネオコンの“転覆工作”。リアリスト派の巻き返しで、実は「温存」とも見える。

2008年10月号 COVER STORY [グルジアの砲声]

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『8月の砲声』という名著がある。ピューリッツァー賞を受賞した米国の女性ジャーナリスト、バーバラ・タックマンの労作だ。第1次大戦が勃発した1914年8月のドキュメントだが、開戦前夜、恐怖に駆られたドイツ皇帝の逆上は忘れ難い。「世界はかつてなく恐ろしい戦争にがんじがらめになる!」2008年8月のグルジアの砲声もそれを連想させた。北京五輪の華やかな開会式に冷水を浴びせた8月7日の軍事衝突を境に、「唯一の超大国」米国と「かつての超大国」ロシアの関係が劇的に悪化(ロシア周辺国の分析は64~65ページ参照)、ポスト冷戦の“グレートゲーム”は様相が一変したのだろうか。9月8日にはジョージ・ブッシュ大統領が、米ロ原子力協定の議会承認申請を取り下げると正式に通知した。「核の平和利用」で米ロが協力していく法的基盤となるこの協定は5月に両国政府が調印、議会の批准を待つばかりだった ………

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