批評性失わない「贖罪の子羊」の主題

演劇『闇に咲く花』

2008年10月号 連載 [IMAGE Review]

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終戦から63年目の暑い夏、戦後の焼け跡に残った東京の神社を舞台にした井上ひさし作『闇に咲く花』(こまつ座)を見た。公演初日は終戦記念日にあたり、改めて戦争責任や戦争の記憶が風化していく現実を考えさせられた。敗戦後2年たった東京・神田の愛敬(あいきよう)稲荷神社が舞台。神主の牛木公麿(辻萬長)は、近所の戦争未亡人を集め、闇米運びをしながら生計を立てている。「神風は吹かなかった。神様はずいぶん前からお留守」だから神罰は下されないとうそぶく。そこへ、戦死したはずの一人息子、健太郎(石母田史朗)が突然生還した。輸送船が攻撃されて海に投げ出された衝撃で一時的に記憶を失い、米軍に収容されて帰還が遅れたのだ。職業野球団で優秀な投手だった健太郎は野球で再出発するが、グアム守備隊への配属時に現地住民を虐待したとして「人道に対する罪」を問うC級戦犯容疑がかけら ………

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