「ガバナンス不在」米住宅金融公社の怪

2008年9月号 連載 [隗より始めよ]

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7月末、アメリカの住宅金融公社2社を支援する法案が議会で成立したが、住宅ローンの証券化ビジネスで中核的役割を果たしてきた公社が、なぜ存亡の危機に立たされるようになったのか、構造的問題に絞って3点指摘したい。第一の、かつ最大の問題は、明確なガバナンスの不在という点である。れっきとしたNY上場企業であるが、同時に住宅金融を円滑化するという公共的使命を背負わされており、利潤極大を目指す通常の企業とは建て付けが全く異なる。さらに、発行される債券は、担保適格性や資本規制面で優遇されているだけでなく、政府の暗黙の保証があると市場に受け止められているため、国債に次ぐ信用力があり、トリプルAの民間企業より低利で資金が調達できる。このように、レント(超過利潤)を持ち、政府の直接支配下にある公社には、民間企業のようなガバナンスが期待できないことは自明である。事実 ………

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