理念の退場、超大国の幕引き

2008年8月号 連載 [手嶋龍一式INTELLIGENCE 第28回]

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「あらゆる圧政からの自由を! 心から自由を求める人々の普遍的な希いがかなえられる世界の実現を!」アメリカ大統領ジョージ・W・ブッシュは、自らの理想を短冊に託して、サミット会場にしつらえられた竹林の枝につるした。北海道洞爺湖サミットの初日が、七夕だったからである。とっさに筆をとる政治家の意匠をゆめゆめ軽んじてはならない。会議の首脳発言は様々な装飾が施されてプレスに発表される。だが、求められて揮毫に応じるとき、彼らは自らの理念を思わず披瀝してしまう。それゆえ「ブッシュの短冊」も、公式のスピーチよりよほど率直に大統領の心の内をさらけ出している。意外に思われるかもしれないが、ブッシュというひとは「理念の指導者」なのである。歴代のアメリカ大統領はみな、圧政からこの世界を解き放つことに情熱を注いできた。この国が独立戦争を通じて、アメリカン・デモクラ ………

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