散る桜 残る桜も 散る桜
2008年8月号 連載 [経営者のひきだし 第28回]
野村証券を「利益日本一」に育て上げたこともある田淵節也さんが、6月26日、84歳で亡くなった。「功罪相半ば」「光と影を背負い」――新聞各紙に、そんな言葉が載った。メディアは、「功」と「罪」が併存するとき、「罪」により焦点を当てる。それも、歴史を検証し、権力をチェックするというメディアの役割ではあるだろう。だが、「嫉妬文化」の日本では「そのほうが世間受けする」ということも、潜在意識にあるのではないか。極言すれば、営業政策から来る「功罪論」なのだ。親しかった人たちがもう一つ「残念」としたのは、追悼原稿が実像にほど遠かった点だ。切り抜き記事のパッチワークばかりが目立った。故人は、酒と桜を、こよなく愛した。日本人はみんな桜好き。潔く散る風情に、身の退き際を想う人も多い。だが、桜の花は、ただ潔く短い命を散らしているだけではない。「散る桜 残る桜も 散る ………
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