編集後記

2008年7月号 連載

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私事で恐縮ながら、高校以来の親友、山本一生君が第56回日本エッセイスト・クラブ賞を受賞した。受賞作品は『恋と伯爵と大正デモクラシー』(日本経済新聞出版社)である。賞など無縁の世代かと思っていた。1年前に逝った直木賞作家、藤原伊織もそうだが、青春の火宅を潜り抜けた者しか書けない抒情が、今こうして報われるのはうれしい。▼それにしても、この本のジャンルは何だろう。旧久留米藩主家に生まれ、大政翼賛会の事務総長、戦後はA級戦犯容疑で巣鴨プリズン入り、のち中央競馬の「有馬記念」の生みの親という伯爵有馬頼寧(よりやす)の秘話、それも1919年の不倫の恋を追っている。歴史? いや、論証を超えている。小説? いや、ミステリーを超えている。いざ受賞してみると、なるほどエッセーなら座りがいい。▼エッセーは何も花鳥風月、身辺雑記と限らない。モンテーニュの『随想録』は哲学 ………

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