グリゴーリイ・ポチョムキン<上>

どうして、あの女だけを

2008年7月号 連載 [第二の男]

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啓蒙専制君主として知られるロシアの女帝エカテリーナ2世の数多い愛人の中でも長く寵愛をほしいままにし、その治世の一時期を共同統治した事実上の夫である。ともに激しい魂が共鳴した大ロマンは、あるシンデレラ物語から始まる。『シンデレラ』も『白雪姫』も、実は「その後」の人生が面白いはずだ。飛びぬけた美人ではないが、利発なプロシャ貴族の娘ゾフィー・フリデリーケ・アウグスタは、思いもよらずロシア皇太子妃になった。元々、そこまでの家柄ではないが、母ヨハンナ・エリザベートはプロシャの名門ホルシュタイン=ゴットルプ一族の出で、彼女の早世した兄カール・アウグストが、ロシアの女帝エリザヴェータの若き日の婚約者という縁がある。独身のまま帝位を継いで、亡き姉アンナのひとり息子ペーター・ウルリッヒが皇太子ピョートルになった。姉はホルシュタイン=ゴットルプ公夫人だった ………

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