永野 健氏(日経連元会長)

明日はアナザデー

2008年7月号 連載 [ひとつの人生]

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永野健氏の財界人デビューは、板ばさみとともに始まった。1990年に三菱金属と三菱鉱業セメントを合併させ、三菱マテリアル初代会長の座に就いたばかりで、第6代日経連会長の鈴木永二氏(三菱化成出身)が、「三菱たらい回し」の批判を押し切って次期会長に抜擢しようとしたのだ。烈火のごとく怒ったのが、経済同友会代表幹事の石原俊氏(日産自動車)。次の代表幹事に白羽の矢を立てていたのに“横取り”された形だからだ。88年のリクルート事件で有力財界人が傷つき、経済団体トップは候補難だったから、鈴木氏はしたたかに外堀を埋めていく。日経連の先代会長で三菱鉱業セメントの重鎮、大槻文平氏を動かしたのだ。合併相手の頼みである。永野氏は「断れんなあ」と悩んだという。技術畑出身だけに「財界労担なんて務まるのか」と危ぶむ声もあった。それを杞憂と笑い飛ばしたのが広島の同郷人、宮沢喜一 ………

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