人種という「禁断の木の実」

2008年6月号 連載 [手嶋龍一式INTELLIGENCE 第26回]

  • はてなブックマークに追加

「人種の坩堝(るつぼ)といわれるアメリカでは、その人がどんな社会階層に属しているかを推しはかるのは、ここボストンの名探偵スペンサーの眼力をもってしても難しい。だが、手立てが二つだけある。ひとつはボールの大きさだ。いまひとつは身につけているものの素材である」ハーバード大学でエイズ対策を講じていたジョナサン・マンが披露した「社会階層を見分ける法」は、実にユニークだった。いまも細部まで覚えている。大きなバスケットのボール。手のひらにおさまる野球のボール。小ぶりなゴルフのボール。ジョナサン・マンの分析によれば、大きなボールを扱うスポーツを好むのは、アメリカ社会の下層を構成する人々である。野球ファンは拳のような球を握り締めるミドルクラス。そしてアッパー・ミドルクラスはゴルフを楽しむ人たちだという。「いま着ているシャツをチェックしてみるといい。化学 ………

ログイン

オンラインサービスをご利用いただくには会員認証が必要です。
IDとパスワードをご入力のうえ、ログインしてください。

FACTA onlineは購読者限定のオンライン会員サービス(無料)です。年間定期購読をご契約の方は「最新号含む過去12号分の記事全文」を閲覧いただけます。オンライン会員登録がお済みでない方はこちらからお手続きください(※オンライン会員サービスの詳細はこちらをご覧ください)。