編集後記

2008年2月号 連載

  • はてなブックマークに追加

ふと思いたって、絶版になったブルバキ『数学原論』を書棚で探してみた。学生時代に第1巻の難解な集合論をしゃにむに読んだ記憶がある。ブルバキとはフランスの一流の数学者集団のペンネーム。野心的な彼らは、ユークリッド『原論』の現代数学版をめざした。高校教科書に唐突に集合論が加わったのも、彼らのおかげなのだが、頭が硬くなった今は、悲しや、とても歯が立たない。▼でも、群論は覚えている。ブルバキの一人、アンドレ・ヴェイユ(『重力と恩寵』のシモーヌの兄)が、文化人類学者レヴィ=ストロースに協力し、アボリジニの難解な婚姻法則を群論で解いてみせた。目から鱗の論文は、古典となった『親族の基本構造』に載っていて、一読、数学の快楽に酔い痴れることができた。で、ブルバキとは何ぞやと『数学原論』に挑み、卒論に応用してみようとしたが、あえなく失敗した次第だ。▼しかし私だ ………

ログイン

オンラインサービスをご利用いただくには会員認証が必要です。
IDとパスワードをご入力のうえ、ログインしてください。

FACTA onlineは購読者限定のオンライン会員サービス(無料)です。年間定期購読をご契約の方は「最新号含む過去12号分の記事全文」を閲覧いただけます。オンライン会員登録がお済みでない方はこちらからお手続きください(※オンライン会員サービスの詳細はこちらをご覧ください)。