同情無用の自治体三セクに損失補償免除の甘やかし。増田総務相の見識が問われる。
2008年1月号 BUSINESS
「負の遺産の代表であるWTC(大阪ワールドトレードセンタービルディング)は、金融機関に債権放棄をお願いし最終処理する――」選挙期間中からこう公言していた大阪市の平松邦夫・新市長。銀行団が神経を尖らせる大阪市の動向が、全国の第三セクターの処理に影響を及ぼす可能性が出てきた。WTCは大阪市の三セクで、大阪湾に面したコスモスクエア地区に超高層ビルを保有する。債務超過で2004年に一度、特定調停によって金融機関から債務免除を受けている。大阪市は周辺相場より高い家賃で水道局などを入居させ、経営を支えてきた。それでも当初から二次破綻が懸念されていた。再度の債権放棄は金融界の常識を覆すことになる。前回、大阪市はWTCの「親会社」として道義的な責任を問われる存在にすぎなかった。それが今はWTCの借り入れ全額に損失補償をし、法的にも責任を負う。その額は500億円を超す。
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