小麦と「アサドの核」と北朝鮮

2007年12月号 連載 [手嶋龍一式INTELLIGENCE 第20回 ]

大平原の街、ミネアポリスに伝説の穀物アナリストがいる。彼は土曜日の午後には決まってPBSの人気ラジオ番組「プレーリー・ホーム・コンパニオン」を聴きながら、一週間の小麦の値動きを丹念にチェックする。だがその日は、人気司会者ギャリソン・キーラーの皮肉を利かせたユーモアが耳に入らなかった。パスタの原料となるデュラム小麦の先物指標に不穏な動きが表れていたからだ。ミネアポリス穀物取引所でデュラム小麦の指数が1ブッシェル7ドルの壁を突破していた。何か異変が起きはじめている――。2007年8月18日のことだった。震源地は中東のシリアだった。ダマスカスの倉庫から大量に吐き出されるはずのデュラム小麦がなぜか消えていた。すぐさまダマスカスの担当者に電子メールで尋ねてみたのだが、一向に要領を得ない。小麦の価格は、6月ごろから騰勢に転じ、8月に入るとかつてない勢いで高値を追っ ………

ログイン

オンラインサービスをご利用いただくには会員認証が必要です。
IDとパスワードをご入力のうえ、ログインしてください。

ID(メールアドレス)
パスワード  (半角英数字)
 次回から自動的にログイン

IDを忘れた方はこちら
パスワードを忘れた方はこちら
年間定期購読のお申し込みはこちら