福田「同盟」外交に働くふたつの遠心力

2007年11月号 連載 [手嶋龍一式INTELLIGENCE 第19回]

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安全保障同盟とは不思議な生き物である。ひとたび同盟の契りを結んでしまえば、連携の相手国と摩擦を生じた政権は、早晩、命脈が尽きる。佐藤栄作政権から沖縄返還時の密約を受け継がなかった田中角栄首相は、後にロッキード事件に直撃され再起できなかった。米国の意向に抗ってスエズ運河に出兵した英国のアンソニー・イーデン内閣も悲運のなかで倒れている。その一方で、小泉純一郎首相はジョージ・W・ブッシュ大統領を、マーガレット・サッチャー首相は、ロナルド・レーガン大統領を後ろ盾に国内の様々な抵抗勢力を押さえ込み、長期の政権維持を果たしている。ふたつの大洋を挟んで超大国アメリカと安全保障の盟約を結んだ日英両国にとっては、ワシントンとの絆の堅さが政権の命綱だったことがわかる。安倍晋三前首相はこうした同盟の本質に政治的な嗅覚を持ち合わせていなかった。「戦後レジームか ………

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