モルドバ語で演じる不条理

演劇『授業』

2007年10月号 連載 [IMAGE Review]

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不条理演劇のイヨネスコの代表作『授業』。個人授業に来た若い娘に老教授が言語学を教えているうち、錯乱状態に陥り娘を殺害してしまう。言語的な解体が、人間関係の解体をもたらす喜劇性の強いドラマで、パリのユシェット座で50年間、通算1万6千回も長期公演されている人気演目だ。今夏来日したモルドバ共和国のウジェーヌ・イヨネスコ劇場がこの『授業』を上演、エネルギッシュで親密感あふれる舞台を見せた。劇団黒テントの拠点劇場であるシアターイワト(東京・神楽坂)。舞台の真ん中にテーブル1台と椅子が2つ。客席の手前に植木鉢が置かれている。女中の世話を受け、生気なく暮らす老教授のもとに、博士号を取りたいと一人の女生徒が訪ねてくる。いかにも現代娘のいでたちで、ガムを噛みながら携帯電話をかける振る舞いを見ても頭がよさそうな感じはしない。まず算術を教えるが、この娘、引き算の ………

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