ライス外交と「日米同盟裏切り」の構図

2007年10月号 連載 [手嶋龍一式INTELLIGENCE 第18回]

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一葉落ちて天下の秋(とき)を知る。アメリカ外交という名の巨木はいま、イラクから吹きつける烈風にしなって傾きかけている。ブッシュの戦争が中東の地に果てしない混迷を生み出しつつあるからだ。その巨木が日本列島にかざしていた枝からも葉が散り始めている。イラクでの劣勢は日米同盟にも黒々とした影を落とし、東アジアの地でアメリカ外交は潰走しつつある。苦境のアメリカ外交を率いるコンドリーザ・ライス国務長官は近頃、名だたる戦略家たちの回想録を手に取って思案にふける姿を側近に見られている。そういえば国際政治を講じていたスタンフォード大学の居室の書棚にヘンリー・キッシンジャーの回想録『ホワイトハウス・イヤーズ』が並んでいたのを憶えている。幾度となく取り出しては読んだのだろう。背表紙はくたびれていた。彼女は、政権の1期目にはホワイトハウスに在って国家安全保障担 ………

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