ウォークマンの魂
2007年9月号 連載 [ひとつの人生]
「ウォークマンの本質を最初から理解していたのは、井深(大)さんと盛田(昭夫)さんのおふたりだけです。そしてウォークマンが多くのユーザーから受け入れられると確信していたのは盛田さんだけでした」そういうと、黒木靖夫は微笑んだ。私が、「ミスターウォークマン」と呼ばれた黒木に初めて会ったのは、彼がソニーを依願退職し、個人事務所を開いた数年後のことである。そのとき、黒木は一生忘れられない言葉を教えてくれた。「テープレコーダーは売れても、テーププレーヤー(音楽再生機)なんて買う人間はいない」それは、ソニーの役員会で反対派の役員が掲げた最大の反対理由だった。2人の創業者以外、社内の賛成者は皆無と言ってよかった。日米の販売部門の責任者は、ウォークマンの販売促進費を出し渋ったし、社内も冷ややかだった。やむなく盛田はコンバット部隊(専用の販売部隊)を立ち上 ………
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